松丸東魚先生が1973年に刻した呉熙載臨玉枕蘭亭という法帖がある。 これは、河井継述堂先生 旧蔵の墨跡を法帖に刻したものである。原墨跡は、たぶん1945年 東京大空襲のとき、河井先生とともに焼失しているので、 写真をもとにしたものではないかと思う。 原品は、絹本で、罫線の外枠で235mm x 83mm という本当に小さいものである。文字の大きさも5ミリ程度という小字である。こういう小さい字で書の味を出すのは実に難しいものだが、呉熙載(穣之)は、楽々とやっていて、驚嘆せざるをえない。 三省堂書エン編輯の藤原楚水氏の評では「ケン[糸+兼](絹の一種)本に紅絲欄を画し、蠅頭の細字をものして千里陣雲の勢を示し、所謂重きことは崩雲の如く、軽きことは蝉翼の如く、懸針垂露の異、奔雷墜石の奇、一として具はざるはない珍品である。」 臨といっているが、その大元の玉枕蘭亭に、あまり似てはおらず、むしろ呉穣之が普段書く行草書によく似ている書風である。 現在、あまり知られていないようなので、再度 原寸コロタイプ影印をもとに、拡大画像をあげてみたい。 Source: 書エン、第二巻四号、特輯蘭亭号、三省堂、東京、一九三八年四月
by reijiyam
| 2021-06-11 05:13
| 蔵書
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||