描き変えはあったのか?


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ブリュッセルにある
ヒエロニムス・ボス作の磔刑図
https://fr.wikipedia.org/wiki/Crucifixion_avec_un_donateur

は、何度も観たことがあるが、最近、奇妙な話を本で読むようになった。


小池 寿子、 謎解き ヒエロニムス・ボス (とんぼの本) 単行本 – 2015/4/28 、

の118p  「17 キリストの処刑」の解説で、「寄進者像は一時、マグダラのマリアに描き変えられていたが、1966年の修理で元の姿に」というのがある。

 この話、聞いたこともなかったので、少し調べてみたが、どうも。

Stefan Fischer著, Hieronymus Bosch The Complete Works Taschen America Llc (2014/3/1)
に書いてあることが、もとのようである。

  ところが、最近、

ヒエロニムス・ボスの世界
ティル=ホルガー・ボルヒェルト/著 -- パイインターナショナル -- 2019.12 -- 723.359
https://pie.co.jp/book/i/5232/

にも12P:「長い間、後世に上から描かれたマグダラのマリア像の下に隠されており、それが除去されたのは60年代になってからのことだ」と書いてある。

 ところが、1949年パリ出版の本に写真があった。上イメージ、念のため本の奥付まで下イメージにあげて証拠にしておく。
 どうみても マグダラのマリアではない。 なにかの勘違いか? それとも1949年と1960年(美術館に入った年)の間で「マグダラのマリアに描き変えられていた」が起こったのか?いくらなんでも、それはないだろう。 それとも、除去されたのはもっと前1930年代以前なのだろうか? この話は1966年のチノッティの総カタログにも何も書いてないし、1967年の北ブラバンとでの展覧会カタログにも書いていない。この話そのものが眉唾に憶えてきた。


Source: Jean Leymarie Jerome Bosch Edition Aimery Somogy, 1949, Paris
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by reijiyam | 2020-03-29 11:49 | ニュースとエッセイ | Comments(0)
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