この宇多天皇の自筆メモは、書道史の本にでることはでるが、良い図版がでることは少なく、習われることが少ないせいか複製もあまりでない。一部に草仮名を使ってあるので仮名の歴史の例としてわずかに取り上げられるくらいだ。(第一のイメージの左下 左上など)
まあ、目が覚めるような上手さや奇抜さなど全くない、メモ、率意の書なのだから無理もないが、かなり冷遇されていると思う。 この書をみているとその五〇年あとの小野道風の書風を思い出すところがある。おおぶりで大きく回ったような筆使いをするところが、道風のいわゆる和洋漢字に似ているのだ。菅原道真を起用して遣唐使を廃止したり、和歌を振興したり、かなり国風文化の天皇であらせられたから、和洋漢字の先駆の風がある、というより当時の書家のなかで天皇の好みにあう人の書を習ったのだろうから、当時の流行をリードした功績があるのかもしれない。道風の和洋漢字というがいきなり出たものではない、という証拠でもある。 宸翰集 宮内庁蔵版:臨時東山御文庫取調掛謹輯 京都 小林寫眞製版所 出版年 1927.12
by reijiyam
| 2010-12-18 09:07
| 蔵書
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