中国 最古の石刻文字

 石鼓文が、中国最古の石刻文字だという変な記述がある本を読んだので、呆れてしまった。殷時代の婦好墓出土の石牛刻字文字(司辛 3センチぐらい) 石磬 刻字文字(妊?入石 幅3センチ)、をここにイメージを図示する。
また、BCE298年以前の戦国時代中山王国墓の墓守の碑 河光石の拓本を呈示する。この河光石の銘文は、文字部分が高さ80cm前後もある。石全体は高さ90cm。大字である。1字10センチちかいものだ。
これらは、既に20世紀末でも既に発表された資料なのに、知らない人が本を量産しているのはいかがなものか?? あるいは21世紀には更に別の石刻文字が発見されているのかもしれない。


図版出典
中国社会科学院考古研究所、殷虚婦好墓、文物出版社、1980
中国美術全集編集委員会 中国美術全集  書法篆刻編1 商周秦漢書法 ,1987dec。

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# by reijiyam | 2024-08-29 15:27 | ニュースとエッセイ | Comments(0)

古詩四帖

遼寧省博物館にある、古詩四帖という草書の巻物は、ラストエンペラーの満州国宮廷から没収されたものだが、その経緯はあまり確かではない。
張旭の作品だと憶測で推定したのは、あの煽り上等の、明末の董其昌であり、それ以前は謝霊雲->賀知章と推定筆者が二転三転していた。テキスト自体が開元16年(728年)、徐堅らが、玄宗の勅を奉じて撰した「初学記」からとったものなので、当然、それより後なので謝霊雲ということはないはずであるが、誰の作品かはわからない。そして、啓功先生が宋時代の偽物という論を書いたので評判が悪くなったせいだろうか? 現在ではネットでもまともな画像すらない。西川寧先生、比田井天来なども評価しているものなので、無闇に偽物といわず、唐後期の無名人作品として鑑賞すればいいと思っている。とにかく、画像がないので、完全なものではないが、複製本から、あげておく。
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# by reijiyam | 2024-08-17 07:28 | 蔵書 | Comments(0)

天使の合奏 【追加あり】

東京上野の西洋美術館で開催されている
内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙
会期 2024年6月11日(火)〜8月25日(日)
は、チラシやカタログに掲載されていない作品にも面白いものが多かった。

なかでも、音楽を演奏する天使の挿絵は複数のかたがXなどで注目されていたようだ。

フラーテ・ネブリディオの追随者   Follower of Frate Nebridio
ミサ聖歌集零葉 Leaf from a Latin Antiphonary: The Ascension of Christ in an Initial V
制作地 イタリア、ヴェネツィア(?)
制作年 1470–1480頃
https://collection.nmwa.go.jp/L.2018-0003.html

【追加】
音源YOUTUBE動画
Instruments of the Middle Ages and Renaissance : david munrow
https://www.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nTJgYcp7XNYGi9MIPZR0J8BoXX776EcWY
いい時代になったものだ。昔なら高額のCDを買わなければ触れることすらできなかった。
【追加おわり】

そこで楽器の種類をちょっと解説してみよう。まず、これは、ゴシック・ハープとレベックである。まあ、これはわかりやすい。ただ、弓を左手にもっている。左利き??
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これは前がダルシマー、左はレベックだろう。これも弓を左手にもっている。
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これは、細部をみないとわかりにくいのだが、上2本はリードがあるのでショーム、ただ音域が違う?
下、左はコルネット、右はリコーダー
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このまんなかの天使はダブル・パイプ、下左は、小さくてわかりにくいがプサルテリウム? またはタンバリン、右はリュート
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これはポジティヴ・オルガンだが、とくに左の天使がどう座っているのかよくわからない。とても不思議だ。なんかイスラムのようにあぐらかいているのか? 正座しているかのようにみえる。
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# by reijiyam | 2024-07-06 10:29 | ニュースとエッセイ | Comments(0)

ユイスマンスのグリューネワルト紹介本

グリューネヴァルト〈イーゼンハイム祭壇画〉への誘い ドイツ美術の至宝とその画家の生涯
大杉 千尋、教育評論社、2023
で、
小説家・官僚:J-K ユイスマンスのグリューネワルト紹介本についての書誌が少しばかり混乱していたので、ここに初期の版本書影をあげておきます。初版初刷り本じゃありません。

 まず、1905年
J-K. Huysmans, Trois Primitifs, 2nd ed. Libraire Leon Vanier, A. Messein、 1905, Paris
こちらは「三人の素朴派 Trois Primitifs」のみ収録されています。絵画のモノクロ図版が入っています。

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 そして没後出版のこちら、
J-K. Huysmans, Trois Eglises et Trois Primitifs, 4th ed. Libraire PLON, 1908, Paris

これは「三つの教会」と「三人の素朴派 Trois Primitifs」の合本です。図版は入っていません。章頭の装飾文字が美しい本です。
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 私は、ユイスマンスの熱心な読者とはいえませんが、ハネカーのユイスマンス評のエッセイに刺激を受けて、この「三人の素朴派 Trois Primitifs」だけは熱中しました。



# by reijiyam | 2024-06-23 02:33 | 蔵書 | Comments(0)

中島敦「名人伝」の元ネタ




中島敦「名人伝」の元ネタはもとは中国古代「列子」の湯問篇黄帝篇ですが、この原典(イメージ)をだいておきます。
原典イメージ 列子八卷 二冊 光緒二年 浙江書局 刊

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# by reijiyam | 2024-05-03 07:47 | 蔵書 | Comments(0)