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雪堂校刊群書叙録

最近、大陸で再刊されたようだが、これは天津で羅振玉自身が出した本のようである。本来他の著述と併せて六冊本だったが、貧架には、このかなり傷んだ本が二冊あるのみである。なんとか不愉快でなく読めるように自分で修理したので、蔵書印を押した。私はなんらかの修理をやった本については蔵書印を押す資格があると思っている。
 これは、上部にやけに余白の大きい本だ。こういう余白の本は、結構民国時代にはある。

羅振玉が刊行した本の序跋を集めたもので、羅振玉の学問と嗜好が意外なほど伺われる好著だと思う。日本との関わり合いも多く、例えば石きょう宝笈三篇目録の出版は、日本人  山本俤二郎(澄懐堂)こと山本二峯が北京で買った写本によっている。写本なので宮廷外ではだれもみたことがなかったのだ。また、世説新書の唐抄本は奈良平安のころに日本に伝わったものの残巻を、神田博士のところなどでみせてもらっている。
 この本、最近の大陸のオークションで高価だというので思わず欲がでたが、それは六冊完本の美本のことだった。貧架の本のような汚い端本並本のことではない。そうはいってもこの原刊本はかなり少ないもののようだ。
  縦27.2 横15.1cmという縦長の本である。一般によくあるこの本は縦17cmぐらいの民国期の活字本のほうだ。
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by reijiyam | 2010-09-09 08:22 | 蔵書

羅振玉の隷書

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 清初の多産な画家:キョウ賢の画冊に羅振玉が題字を書いている。これはなかなかいいものだと思う。残念ながら画冊自身はバラバラにされて軸装されたようだが、幸いほぼ全部が米国カンサスシティーのNelson Atkins Galleryに収蔵されている。
  画冊のできは、画家キョウ賢のベストに近いものだが、この題字も悪くない。羅振玉というと甲骨の研究者としての名声が大きいので、甲骨文の臨書などが代表作としてあげられるが、実際は隷書のほうが上手いのではないかと思うくらいである。これは金文風篆書ばかりとりあげられる呉大徴にもいえることだと思う。SOURCE: 博文堂による複製:キョウ半千山水冊
  ところで、この文字  「董巨遺刑」であるが、「刑」だけは違和感がある。「董巨」は有名な画家董源と巨然のことで「遺」は遺風とかいうような意味合いだろう。ただなぜ「刑」刑罰?処刑? 
   どうもこれは「型」の意味らしい。音通というやつである。じゃあ「型」を使えばいいじゃんと思うが、

 ここで問題? 古い時代に型という字があったのか?使われていたのか? 書体字典などをみると
石碑などでの使用例がない。データベースで検索しても、わずかに三例(唐1,清2)しかも楷書の
例があるのみ。

 現在は頻繁に使われる「型」という字も古い時代には殆ど使われなかったらしい。それを根拠にして「刑」という通用字を使っているようだ。
で、「遺型」という言葉は、日本ではまず使われないが、中国では、どうも清時代以降にはいかめしいケースで結構使用されているようだ。乾隆帝が (伝・めいっぱい伝)柳公権:蘭亭詩墨蹟に題しているのが「筆諫遺型」(下のイメージ)である。

 どうも、このような先例にならって、ひとひねりしたということのようだ。

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by reijiyam | 2010-09-05 09:42 | 蔵書