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好古堂一家言

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明治後半から大正初期に活躍した骨董商  中村作次郎氏が大正8年に、「もともと店の番頭小僧共に美術沿革のあらましを知る手引きにもなり又商売上の心得にもならんかとて」 病気回復後 書きためたものであるが、なんと松方正義の題、正木直彦の後書きがある本で、昭和二年に再版されている。これは再版本である。なんと細かい正誤表がついている。22.3x15.3cm。本文138P,前書15p,後書3p,
活字印刷。 和本。
 何も知らないで古書展で買って結構面白いものだとおもっていたが、骨董の本にはしばしば夜郎自大の誇大妄想的なものが少なくない。また古い本では今日からすると全くの誤りとおもわれるものが堂々と書いてあることも多い。しかし、この本は実体験に即した記述が多いので、現代でもなお役に立つし歴史的記録・伝承でもある。
 実は広田不孤斎の「骨董裏おもて」に収録された「歩いた道」のなかにも言及されていて、明治期の浮世絵輸出の中心であった林忠正・若井兼二郎の話があることを特記していた。
 ここに、
 明治六年ウィーン万博で、日本から色々の美術品を出陳したのが、日本という国を欧州へ紹介した始めであるといってもよろしいのです。その頃までは、欧州人は日本を支那の属国位に考えて居ったのですから、右の美術品を見て大いに驚き、かあkる立派なものができるならば将来取引したいという希望の向きが色々あった(122p)
 という記述があります。宣伝戦・情報戦の重要な所以である。現在でも銘すべきことだと思う。
by reijiyam | 2008-07-04 09:07 | 蔵書 | Comments(0)