<   2007年 09月 ( 5 )   > この月の画像一覧

カッティングと手鑑

  この薄い(58p)本はウォレスコレクションのカッティングCuttingのカタログである。カッティングというのは、中世ルネッサンスの装飾写本の画のところだけや1頁だけを切り抜いたものだ。サミュエル=ピープスの日記にも載っているそうで、現存するピープスのスクラップブックには、その現物の貼り付けがあるそうだ。
 19世紀にはずいぶん行われたので、オックスフォード大学の図書館には切り取りで穴だらけになった写本がかなりあるらしい。特にイタリアがナポレオン軍に占領されたあと教会修道院から合唱用のクワイアブックが流出したが、これはとっても大きなものなので売りにくい。そのためこのような切り取りが頻発したそうだ。この32点のコレクションでも過半はイタリアである。
これで、思い出すのは、日本の手鑑である。手鑑というのは、この手鑑「藻塩草」e0071614_1242335.jpgのようなもので、奈良平安鎌倉の古筆写経を切断して貼り込んだアルバムで、そうとう流行し、そのため古い歌集などがガンガン切断された。
この手鑑制作を文化破壊というべきか、1巻一度に焼失するより断片でも残るから良いとすべきか、議論があるが、日本人はどうこうという論者もないわけではない。西洋でも事情はこのとおり変わらないのだ。無知は罪。
 さて、このウォレスコレクションは、ロンドンの貴族のコレクションを、その館ハートフォード館で観るという贅沢な美術館である。ベーカー街の近くであり、ロンドンでは是非訪ねたいところだ。
  Wallace Collection, Catalogue of Illuminated Manusccript Cuttings,1980, London,58p
by reijiyam | 2007-09-18 12:45 | 蔵書

朝日新聞 重要紙面の75年 その2

創刊以来の重要紙面をピックアップして縮刷した興味深い本です。
1943年、太平洋戦争で、多くの兵士が餓死病死した悲惨なガダルカナル島の戦いの報告紙面をみてみましょう。
昭和18年2月10日です。
昭和29年4月5日 第五版の出版ですので、著作権はとっくに切れております。内容を紹介できるのは、幸いです。
「新作戦の基礎確立」だそうです。そんなものあったのか?
「転進」だそうです。
「戦略線微動もせず」 力強い保証です。
「勇戦鬼神も哭く」、名文です。哭く(なく)は「泣く」で慟哭というやつです。
「敵を恐怖の坩堝へ」ならなんで転進?

e0071614_13401817.jpg

by reijiyam | 2007-09-17 13:41 | 蔵書

朝日新聞 重要紙面の75年

創刊以来の重要紙面をピックアップして縮刷した興味深い本です。
1905年日比谷事件の直前1905年9月1日の紙面をみてみましょう。
昭和29年4月5日 第五版の出版ですので、著作権はとっくに切れております。内容を紹介できるのは、幸いです。
当時は、マスコミがあまり発達しておりませんでしたので、官報、演説会、伝聞以外では、新聞が唯一の国内国際政治情報をえるルートでした。新聞も皆が読んでいたわけではなく、買って読む人が多かったようです。文盲の人、難しい文章は読めない人もいましたから、読んでもらうという例もあったはずです。
当時、日露戦争の日本の戦費は底をつき、弾も石油も何も買えない状態に陥りました。政府は、かなり弱気の条件でロシアと講和したのですが、その事情を知らないマスコミは大いに講和破棄を煽ったわけです。政府は内情を公開してロシア政府に知られると交渉が不利になると考え、御用新聞の國民新聞にだけ情報提供し、世論誘導をお願いしていたようです。調印・批准後なら事情を公開してもよかったのでしょうが、暴動は調印当日に起こりました。
こういう、無知な煽り報道のため、大規模な暴動になり、軟弱とされた國民新聞社は焼き討ちにあい、戒厳令をしくありさまになりました。死者は17名、負傷者は500名以上、検挙者は2000名以上(このうち有罪となったのは87名)にも上りました。
 マスコミのミスリードは、まずこのあたりから始まるといえましょう。

朝日新聞 重要紙面の75年、昭和29年, 朝日新聞社

e0071614_13205427.jpg

e0071614_13215775.jpg

by reijiyam | 2007-09-17 13:26 | 蔵書

馬王堆漢墓

e0071614_925977.jpg 


前、入手した何介鈞「馬王堆漢墓」をとりあげてみます。2004年、文物出版社。20世紀中国文物考古発現与研究双書のひとつです。
 1982年にでた 何介鈞・張維明「馬王堆漢墓」(右)も並べてみます。この1982年版のほうは長らく入手できなくて困りました。というのも、翻訳がでるというので待っていたら、とんでもなくひどい翻訳でした。文書が日本語でないような悪文、おまけに、ある事項がそうであるのか、そうでないのか、1段落の中で矛盾しているというすごい本でした(「馬王堆漢墓のすべて」、中国書店)がっかりして原書を探そうとしたら、ない。古書でもずいぶん探したのですが無かった。馬王堆漢墓の1号墓については詳細な報告があるのですが、2号暮,3号墓も含めた全体を解説したまともな本はあまりないのが現実です。よっぽど難解な中国語かと思っていましたら、9年さがしてようやく入手した原書(右)を読むと、いたって調子の良い簡明達意の名文でしたのでますます驚きました。
 近刊のほうの本(左)は、前書の再版補訂ではないのですが、コンセプトは同じで、20年間の研究をとりいれた良書です。あえてカラー図版が少ないのは好感がもてます。近刊の本は香港・マカオの富豪Hotungの資金援助で出版されています。何介鈞て1940年生まれ、ずいぶん若いときに大きな仕事をしてるんだね。
by reijiyam | 2007-09-16 09:27 | 蔵書

紙 古版本と古写本

12x29cmの細長い本で、全くの私家本である。扉も含めて6葉しかない薄い本だ。複数部作ったものなのか、全くの手控え本、スクラップブックであるのかさえ判らない。他で同類・同筆跡の本があったら、ご教示願いたいと思っている。
  古い時代の紙の紙質をみるのが目的の本なので、実物の小片を貼り込んである。
  私にしたら、珍しい平安時代の仏教版画(たぶん大丈夫だとは思う)を安価に買うことができたので嬉しかっただけである。
  これを、神田の古書店でみつけて検分していたとき、後ろにぴったりとくっついてじっとみている知らない男がいた。そりゃ、あんたも買いたいのかもしれないが、そんな露骨なやりかたじゃ、逆効果だぜ。私が少し迷っていても、そんなに気味悪くされれば、いやでも確保したくなる。
そういうときは、少し離れて他の本をみているふりをし、うっかり私が離れたら、すぐに確保するというテクニックぐらい使うべきだった。これは初歩の初歩だよ。


・手書き 紙表紙
・手書き扉 頁
・山城浄瑠璃寺九品阿弥陀本尊胎内印佛切
・小野流作法伝授巻切  康治2年銘有
・元本 詩集切  (杜甫  客堂の一部)
・南宋 経紙切
・明版  文献通考
・西蔵(チベット)  経典切(印刷本)

e0071614_7251100.jpg

e0071614_731519.jpg


e0071614_745411.jpg

e0071614_753263.jpg
e0071614_764730.jpg

e0071614_771256.jpg
e0071614_772882.jpg

by reijiyam | 2007-09-09 07:17 | 蔵書