カテゴリ:蔵書( 138 )

本の修理

  画家の呉待秋が収集した書画を影印した「名人書画第7集」は、「呉譲之の横披」を前、紹介したが、昨日、修理を行ったので、修理前、修理後のイメージを紹介してみる。修理後もそう真新しいぐらいきれいになっているわけではないが、修理の哲学として、「あたかも修理してないように修理する」のが方針だから、 まあこんなものだろう。
 本のページの奥、綴じの間に埃や虫の死骸などがあり、唖然とした。 

民国13年刊行、商務印書館 の刊行。宣紙にコロタイプ

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by reijiyam | 2010-06-07 08:41 | 蔵書

黄庭経 その2

続きの2面とラストを紹介します。
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by reijiyam | 2010-05-25 09:53 | 蔵書

黄庭経

 博文堂でコロタイプ刊行した有名なほうの黄庭経を臨書していたら、さすがにいいものだなあ、と思った。
 黄庭経なんて、アナクロでつまらないものだというイメージがある。王羲之が書いたなんてのはまず嘘だし、仮に唐以前の書であったにしても模写を繰り返して、しかも石や木に彫ったものだから、もとの書風なんて消えているだろう。おまけに小さな文字だからますます模写による弊害は大きい。これが1字が10cm以上あるような大きな文字なら模写でもある程度 真相が伝えられるものである。
 したがって、まるで信用がないのだが、それでも、この楊賓旧蔵本を臨写していると、なかなか特色のある字形、厚みのある筆法が窺われて、面白い。明時代の祝允明、王寵などの滋味のある楷書はこういうところからきているのだろうし、八大山人の書にも影響しているような気がする。
 いつ、誰が書いたかを抜きにして、書の伝統という意味でも、また習って面白い対象という意味でも良い物だと思った。もっとも、刻本によってはどうしようもない短調なものもあるので、この程度の名帖でないと習う意味はない。
 この帖は1行を3字ほど縮めて先送りして、切り貼り、貼り直しをしているので、1行の縦の脈絡が悪い。1字1字はいいのだが、そういう切り貼りを念頭において習う必要はある。
  戦前は、たぶん讃岐の大西帖祖斎の所蔵だったと思うのだが、現在は所蔵不明である。四国の大西家にあるのなら一度みてみたいものだ。 1面  22.5x11.5cm
  
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by reijiyam | 2010-03-14 08:37 | 蔵書

ヴァレンタイン デイ

以前にも某所で紹介したGeorge Cruikshank (27 September 1792 – 1 February 1878)
の ヴァレンタイデイの版画をもう少し良いイメージで紹介することにする。
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by reijiyam | 2010-02-13 14:54 | 蔵書

貴婦人と一角獣

パリ セーヌ左岸ほど近く、今 国立中世美術館という名前になっているもとクリューニー美術館がある。エトワール広場がシャルルドゴール広場になってもエトワールで通じるように、クリューニーはクリューニーで通じるようだ。ここの名物は「貴婦人と一角獣」タペスリーである。6枚1セットで「触覚」「視覚」「聴覚」「味覚」「臭覚」の五感のアレゴリーと「私の唯一の望み」と題された画面からなっている。
 展示されている広間が暗くしてあるからか、モナリザやミロのヴィーナスのように写真フラッシュの嵐に害されることはない。フラッシュをとる人も当然いないし、カメラをとる人も少ない。まんなかにスツールがあるので皆すわってゆっくりみている。
 このタペストリーには感激した。不思議なのは同じようなミルフィオーレ タイプのタペストリーはこの館にも,もう1セット展示されているし、ユニコーンのタペストリーならメトロポリタンにもある。16世紀のタペストリーならブルージュのGrutehuseでも過去に多数観た。
 しかしながら、比較すると、その品格と神秘性からいって群を抜いている。メトロポリタンのものは、少し野卑な感じが鼻につく。他の例もそうだが、宴会や狩猟の場面が多く、人間が多くて少しうるさい感じがする。
 この作品は、縦3m以上という大きな画面なのに、登場人物は最大2人、獣はせいぜい2頭、あとはミルフィオーレと呼ばれる草花模様のなかにいる動物ぐらいという、簡潔な画面で、アレゴリーをあるかなきかの動きで静か
に示しているだけだ。
 そのためか、この前に座っていると、深い瞑想に陥るような気がする。ただ、もしこれが10cm四方ぐらいの細密画だったら、そっくり同じ絵柄でもたぶんこの効果はないだろう。3mという大きさの効果もある。
 この深い味わいというのは、タペスリー制作技術というより構図原案の優秀さによるところが多いようにおもう。推定制作年代の15世紀末というより14世紀的な、なよやかな趣味の作品である。ジャン=ド=マンではなく,ギョーム=ド=ロリスやギョーム=ド=マショーに近いのだ。14世紀の原作を15世紀のトルネイかリールあたりの工房で、背景はミルフィオーレにして拡大模写したのかもしれないとも想像したくなる。工芸品なのだから、そういうこともすくなくないのではなかろうか。また、ポジティブオルガンの鍵盤の本体への付け方がゲントの祭壇画(ACE1426ごろ)の形に近い。どうも下絵自体の制作時期はかなり古いもので、タペスリーの制作時期(1500年ごろ)からかなりずれているような感じをうける。
 ただ、衣装の模様がちゃんと衣のゆがみ・傾き・折れにしたがって変形して描かれていて、平面的に模様をはりつけたようなものではない。かなりすすんだ段階を表している。原画の時代は無茶に古いわけではなくJan van Eykの時代14世紀末15世紀初頭に近いのではなかろうか。
  14世紀のタペスリーというと、アンジェにある黙示録のタペスリーが有名だが、こちらは新約聖書の絵解きなので、ちょっと比較できない。キリスト教と直接関係のないテーマのタペスリーで、これほど神秘的なものはちょっと少ないだろう。過去にジョルジュ サンドが紹介し、リルケがエッセイの筆をとったこの作品なので、そのうちダヴィンチ コード的な小説のネタになるかも知れない。トレイシー=シュバリエが「貴婦人と一角獣」という小説を書いているようだが、未読である。
 
修理の問題:
 ところで、このタペストリーも何度も修理を経ているわけで、原作の姿をどこまで残しているか疑わしいところがある。最近クリューニーで刊行された解説書によると4度も修理しているらしい。
・1882年に主な穴を塞ぐだけの修理
・1882-1883 Lemaire工房による修理
・1889-1892 Alfred Darcelが長だったゴブラン工房でJ.Lavauxによって実施されたタペスリー下部の修理、ここで補われた部分は現在、褪せた灰色がかったピンクになっている。古い糸より、新しい糸のほうが変色しやすかったのである。
・1941-1944 Bregere工房による修理、古い修理部分を除去。「視覚」では1889-92修理の下部部分除去。顔部分の修理を行っている。

 ここに、戦前にクリューニーから刊行されたカラー図版を提示しておこう。刊記がはいってないがおそらく1920年代ごろの出版だろう。これは、1941-44の修理以前の姿をある程度示している。勿論、カラー写真・印刷の粗雑さがあるので、有る程度割り引かなければならないが、そうとうな疲れ具合・傷みがあり、顔が現在のものに
近いのは「聴覚」の侍女と「触覚」とぐらいにしかみえない。勿論織物なので慎重な糸の復元によってもとに戻すことができただろうし、もともと大きな作品なので小さな作品よりは手がかりが多く復元は楽だったろうと思う。
 しかしながら一度はこの状態だったことは、留意しておいて損はない。現在のタペストリーの細部、特に顔面はあ
まり信用ができないかもしれないのだから、細部をもとにして思弁することが砂上楼閣である可能性があることは
銘記していておくべきだろう。
 メトロポリタン美術館のユニコーン タペスリーも、責任者のロリマーが書いたThe Cloisters(1938)によると
、「オリジナルな部分はそこかしこに残っているが、相対的には少ない」そうなので、タペストリーの保存とその鑑賞というのは難しいものだと思った。
SOURCES: J.J. Marquet de Vasselot, Les Tapisseries dites La dames a la unicorn
REF. Elisabeth Delahaye, The Lady and the Unicorn, 2007
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by reijiyam | 2009-10-31 08:47 | 蔵書

夜鶴庭訓抄

 書学書道史学会の学会誌の最新号(No.19 2009)を読んでたら、永由徳夫(ながよし のりお)という方が、夜鶴庭訓抄の写本の研究を発表しておられる。これは平安末期の書道の家 世尊寺家当主 藤原伊行が書いた書道秘伝心得集なのであるが、どうやら群書類従に収録されているテキストと中世に書かれた古写本とでかなり違いがあるらしい。岩波文庫などに収録され定本となっているのが群書類従本だから、これはちょっとまずいのかも、中世写本をもとに定本をつくりなおしたほうがよいかもしれないという問題になっているわけだ。
 古写本が発表されファクシミリでではじめたのが1976年というから、ずいぶん最近のことである。
 実は、手元に夜鶴庭訓抄の写本がある。、といっても、中国式の罫を木版印刷した冊子の写本だからどう古くったって江戸後期、幕末、あるいは明治期かとおもわれる写本だ。で、ちょっと読んでみると、意外にも中世写本に近いテキストだ。勿論 中世写本のように漢字カタカナ本ではなく、漢字変体かな なんだが、テキストは、群書類従本ではないようにみえる。といっても永由論文にある大嘗会のところを対照しただけなんだがね。24条あるから、続群書類従本でもない。ただ、永由論文だけを頼りに対照すると大嘗会の部分は東大本・続群書類従本に近い。

この写本は、表紙にみるような日本の書関係の文献をあつめたものだから、かなりの好古家がつくったものかもしれない。表紙裏と冒頭には無想庵主という印があるが蔵書印なのか写本作成者なのかはわからない。

 もともとはイメージのように鳥居の寸法や額の書き方が書いてあったので面白いと思って、古書展で買ったものだ。少しは大切にしなけりゃいかんかもしれない。

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by reijiyam | 2009-10-20 11:14 | 蔵書

西本願寺本三十六人集 みっつめ

また、平安時代から伝わったもののなかで、最も華麗な本、西本願寺本三十六人集のページを続けてみてみたい


  新潮社 昭和三十九年十月発行

みつね集
能宣集 下
もとざね集

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by reijiyam | 2009-07-12 13:07 | 蔵書

西本願寺本三十六人集  ふたつめ

再び、平安時代から伝わったもののなかで、最も華麗な本、西本願寺本三十六人集のページを続けてみてみたい


  新潮社 昭和三十九年十月発行

伊勢集
ただみ集
もとすけ集

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by reijiyam | 2009-07-08 09:09 | 蔵書

上東門院菊合序

機会があったので、この比較的知られない古筆の冒頭部分を紹介してみる。実物はそうとう良い感じだ。クリック拡大してみてほしい。11世紀後半の頼道時代の作品である。
出典は、上東門院菊合序  陽明輝光 第2集 昭和15年

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by reijiyam | 2009-06-25 08:29 | 蔵書

西本願寺本三十六人集  ひとつめ

ちょっと気分を変えて、平安時代から伝わったもののなかで、最も華麗な本、西本願寺本三十六人集のページをみてみたい。
  新潮社 昭和三十九年十月発行の、華麗なページを選んでカラー複製した本からとった。
  田中親美氏が監修し、高見沢浮世絵研究所も拘わっているので、なかなか良い本になっている。

  つらゆき集  上
  したごう集
  赤人集
  信明集
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by reijiyam | 2009-06-13 07:16 | 蔵書