2015年 03月 28日 ( 1 )

玲児の中国絵画入門 2 尖った山水画と宋元画



学生時代に、老荘思想などへの関心から派生して、中国絵画に関心をもってみたが、
まともな中国絵画の図録や本が全くない。ただ、世界美術全集などの一部に中国絵画の解説があった。

そのなかで小さな図版でみた

伝 馬遠 風雨山水図  (111x56cm 東京 静嘉堂文庫 国宝), はわりと気に入った絵画だった。


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 遠景に、尖った峯が林立しているのが、先回に言及した仙境的な趣があることや、近景も含めた大きな空間性を作っていることで、気にいったんだと思う。

 この絵は東京在住の折、静嘉堂文庫美術館などで何度かみたことがあるが、どうもそれほどは感動しなかった。粗悪な図版の方が影響力があったというのが、まことに不思議である。

  これは、国宝であり、日本に古くから伝世したものだろう。日本でいう「宋元画」「水墨画」の典型の一つである。

 どうも、日本の中国絵画の研究者には、水墨画・南宋絵画などに偏重する人が多い。これは、もともと室町時代以来の日本の中国絵画の賞翫・鑑賞が雪舟・狩野派などを経た南宋元の禅宗系水墨画から入ったことが多く、その系統のものが異常なくらい高い評価をもっている。これは東山御物以来茶道で尊重されたことと関係があると思う。 そのために中国本土では絶滅した宋末から元時代の禅宗系絵画が多数、日本で保存されたという功績もあるが、その反面、日本の中国絵画研究者の評価基準や眼のつけかたにかなりの偏りをもたらした弊害もある。
なにしろ、1950年代ごろなど戦後早く、台中(当時 國立故宮博物院はここにあった)にいった日本の学者は、日本でみなれた「宋元画」の基準でみるので、まともな観賞ができていないように思う。ジェームズ ケーヒル氏のほうがよほどまともに観ていた。また、戦前も阿部コレクション(現  大阪市立)を東京国立博物館のスタッフは全く評価しなかったという信じられないような逸話がある。

by reijiyam | 2015-03-28 07:04 | 中国絵画入門 | Comments(1)