2015年 03月 27日 ( 1 )

玲児の中国絵画入門 1 中国絵画のイメージ

 1970年ころの日本人学生がもつ中国絵画のイメージというのは実に貧弱なもので、「中国絵画の代表作」をあげようとしても頭に絵のイメージも画家名もでてこないという有様である。一方で、レオナルドダビンチのモナリザとかクールベの「波」とか、ヌードがきれいなのでボッシュとかジョルジョーネとかは知っていた。また後期印象派のデュフィの筆致やシュルレアリスム系のキリコやエルンストの不思議な絵も好きだった。日本の画家なら逸話があった雪舟とか青木繁とかは、知っていた。しかしながら、中国絵画については画家の名も作品名も何一つ知らなかったのである。

 一方、妙なことに中国絵画」「山水画」の漠然としたイメージはあって、それは絵本やマンガなどの無名のイラスト・図像などから、頭の中で形成されてきたものだろう。それは、尖った不自然な山岳が林立し、雲気がたなびく仙境のようなものであった。

  そういう絵を現在まで残っている歴代中国絵画からさがすと意外に少ない。
明時代中期の仇英(ACE1494?-1552)の仙山楼閣図(台北故宮)がわりとイメージに近いと思う。

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少し拡大してみると、右はしの断崖に沿った道、山間にある楼閣、細長く林立する峯の間に雲がまつわっているところなど、昔いだいた「中国の絵」のイメージそのものである。


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 こういう仙境画は下の(遼寧省博物館)の小品もある。これは両宋名画册という小品のアンソロジーに入っているが、南宋時代というよりもっと新しいものではなかろうか? こういう仙境画は、由緒のある立派な絵は少ないが、雑な絵や道観や寺院の壁画や版画、挿絵、陶磁器の絵などとして、民間に相当多いのではなかろうかと思う。


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また、ケーヒル先生が北宋末南宋初めの李唐にアトリビュートした奇峯萬木図(台北故宮)もわりとそういう感じだと思う。


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 また、中国土産品店でよく売っていた「コルク画」の細工物のイメージも、大きいと思う。これらはどうももともとはお葬式のときに燃やして、あの世で、こういう豪華な庭園に棲んでくいださいと願うものらしいが、当時はそういうことは知らなかった。台湾映画「非情城市」のお葬式の場面で燃やすところをみて、あっと思ったものである。ただ、このコルク画自体は1920年代に始まったものだそうで、意外に新しいものである。ただ、その祖型のようなものは中国にあったと思う。




山水画以外の絵画ジャンルに眼がいかなかったのは、「山水画」が眼をひくものであったためだが、粗悪で小さな図版では、花鳥画は日本の絵と変わらないようにみえるし、美人画はちっとも美人にみえない顔だし、いかめしい役人王様のしかもあまりリアルでない人物画なんか面白くもなんともないからである。

by reijiyam | 2015-03-27 08:13 | 中国絵画入門