鳥瞰図で文字だけであげたものを実例で絵解きする続き。 ただ、これも、あまり しっかりした解説ではなく、ゆるい感想程度ね。 文徴明の先輩で師匠でもあった沈周(1427-1509)は、かなり作風が違います。沈周は、前「玲児の中国絵画入門 11 元末四大家」であげた元末の黄公望の富春山居図を所蔵してまして、しかもその美しい模写本を自分で製作しています。台北でこの二本を同時に観賞する機会がありましたが、沈周の模写本も美しいものでした。しかもなんとなく沈周風があるんですね。つまり沈周は黄公望の忠実な模写ができず自分の個性がどうしてもでてしまうということなんですね。この個性というのはなんなんだろう? と思いました。一説には元末の呉鎮の影響があるといわれています。 2014年春に、 台北國立故宮博物院で開催された沈周展でみた沈周風の山水画で一番良かったのは この策杖図でした。そうとう大きな絵なんですが、画家の人格がにじみ出ているような感じのする良い絵でした。 こういう沈周風の山水画は、歓迎され、蘇州の名所を描いたステロタイプの工房作?量産品?模倣作?が多量に残っています。下記のようなものがそういうものじゃないかと思います。 ところで、弟子ということになっている文徴明とは相当画風が違うのも面白いことです。沈周と文徴明が合作というか同じ画册に入っているもの(例、ネルソンアトキンスの画册)でも結構違います。 一方、沈周の作品にはこの猫の絵のような気楽で、しかも技法的に優れた作品もあるんですね。こういう「雑画」といわれる絵画は、その後、徐青藤や八大山人、揚州八怪への道を開いているわけで、結構ランドマークというかモニュメント的な作品だと思います。去年の沈周展でも大きな看板になってました。
by reijiyam
| 2015-04-12 09:47
| 中国絵画入門
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