明末清初の古美術商 呉其貞の書画記は、昔と違って、比較的入手しやすくなった。新世紀万有文庫にはいったからである。この本には、ときどき現存する名画名跡とおもわれるものが記録されているので面白い。あまり古い本の場合は一点も現存するものがなかったりする。そうなるとまったく面白みがないが、この本は違う。
第二巻に周文矩 文會図 大絹画 1幅 というのがある。どうもこれは現在台北故宮博物院所蔵の 伝 徽宗皇帝 文會図 のことらしい。 つまり、これはもともと古画・もしくはその模写であって、そのうえに徽宗皇帝と蔡京の題があるのである。ただ、これら全部が更に模写である可能性もある。 この絵は手前で北宋風の陶磁器の水注を火鉢に直に突っ込んで暖めていたりする光景があったりして、なかなか風俗的にも面白いのだが、一見するとオリジナルな絵にはみえない。もともと模写というスタンスでみれば、なんとなく納得がいくものではある。 もうひとついうと、写真でみる横縞がなになのか?痛みにしては剥落に対応していないし、ひょっとしたら、絹自体の織り方が違うので綾のようなものなのかもしれない。
by reijiyam
| 2011-08-29 08:37
| ニュースとエッセイ
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Comments(2)
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8864
at 2011-08-31 21:30
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初めてメールいたします。いつも興味深く拝見しております。文会図についていくつかご参考までに。
著録では、徽宗とのの関わりが指摘される周文矩の文会図が散見されます。例えば張丑『清河書画舫』巻六下では、周文矩筆文会図を徽宗の臨本ではないかと推測していますし、呉其貞と大して隔たらない時代の顧復『平生壮観』巻六では、徽宗と蔡京の題詩が描かれた立軸の周文矩筆文会図が著録されています。周文矩とのつながりはわからないものの、『大観録』にも「徽宗十八学士図軸」が載っています。こういった状況からすれば、周文矩筆の文会図を徽宗が模したという伝承のもとに、けっこうたくさんの文会図の贋作が作られていたのでしょうね。『書画記』著録の文会図は嘉興項氏から購ったとありますから、項元汴の鑑蔵印の捺された台北故宮本が『書画記』著録のものと同一のものである確率はけっこう高そうですね。 ちなみに耿昭忠が周文矩の文会図を摸したというものをネットで見つけました。http://space.btv.com.cn/article/ARTI1262143969315901 この画像だけでは真作かどうかはわかりませんが、耿昭忠は台北故宮本の収蔵者でもありましたから、こういった作品のできる余地はあるのでしょう。
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文會図
at 2011-09-01 20:59
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>8864 様
長文ですのでつぎのアップに
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