金羊毛騎士団

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金羊毛騎士団(Toison d'Or)は、15世紀;中世の秋のころにだけ、ちらと出てくる団体で、てっきりシャルル突進公の戦死(1477)とともに消滅したと思っていた。で、この本を読むと、それがななんと、1962年時点でも存続しているとは驚いた。ただ、18世紀初期のスペイン継承戦争の影響でスペインとオーストリアに分裂している。メンバーは、王侯貴族ばかりだが、近代史の有名人や、思わぬ人がリストにいる。もともと十字軍結成が騎士団の目的なのだが、それが無意味になった近世では、王侯貴族の儀礼位階のためのサークルになっている。勲章の発行もとという感じである。英国の勲章ではガーターが最高クラスらしいが、これはもともと騎士団由来である。聖ヨハネ騎士団が、本業の医療業務はともかく、儀典儀礼の本山として存続しているのも有名である。例えばエリザベス女王も聖ヨハネ騎士団の幹部ということになっている。ところで、金羊毛騎士団のほうだが、まず、ナポレオンが1805年に入団、これはハプスブルグの姫君を迎える下準備かしらん。1934年にはフランス「共和国」大統領がメンバーになっている。共和国の政治家なのに、こんな封建制の精華に入っていいのかね。WWII直前だよ。中国古美術収集でも有名なスエーデンのグスタフ王も、ノルウェーのハーコーン王と一緒に騎士団に入っている。やはり、近世の王侯のプレステージなのかしらん。フェルメールの絵画芸術を所蔵していたオトカール=チェルニン伯爵(外相)も入団してますね。まあ、これはハプスブルグ帝国外相だからということでしょう。変わったところでは、タイのラーマ6世も王子時代に入っている。これは、ヨーロッパ留学時代に入ったということで。タイの不思議な外交をかいま見るところです。
 ただ、バロンは少ないね。ティッセンぐらいの実力がないと無理ということか。プリンス、公爵、伯爵、王が主。これからすると、プリンス=サリーナ(山猫)って、相当な大貴族なんだね。エリザベス二世のおじいさんのジョージ五世は、ハーノヴァー系のドイツ人だからといって、なんと、金羊毛騎士団員でもある。英国の宿敵じゃなかったっけ、これはちょっといいのかと思った。
by reijiyam | 2005-10-20 20:01 | 蔵書
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